眠りの悩みと疑問を解決！睡眠Q&A①

最も多い睡眠の悩みは何か？

• 1位睡眠後も疲れが残る
• 2位寝つきが悪い
• 3位眠りが浅い
• 4位朝起きるのが困難
• 5位日中に眠くなる
• 6位夜中に何度も目が覚める
• 7位予定より早く目覚める
• 8位寝相が悪い

あなたは睡眠時間が十分だと思いますか？

• はい: 29.3%
• いいえ: 51.3%
• どちらともいえない: 19.4%

正しい睡眠知識を身につけ、自分の睡眠を見直しましょう

アンケート結果からわかるように、自分の睡眠に満足している人は3割以下です。しかし、内山真先生によると、現代人は睡眠に対して理想を求めすぎているとのこと。「睡眠が安らぎの時間として認識されるようになったのは、産業革命以降のことです。それ以前は、夜間に畑が荒らされたり家畜が襲われたりするため、いつでも起きられるようにしていました。夜通し深く眠ることは珍しいことでした」と語ります。
夜中に安心して眠れるようになったことで、睡眠の重要性と健康との関係に気付くようになりました。しかし、これが現代の睡眠に対する過剰な期待や誤解を生んでいます。「睡眠の目的は、翌日活動的に過ごすためです。長期的に見れば、体と心の健康を維持するために必要ですが、単に長く眠ることに価値を見出す必要はありません」と内山先生は指摘します。
重要なのは、眠りのためではなく、活動的な生活のためにどのように眠るかです。そのためには、睡眠に関する正しい理解を深め、従来の考え方や睡眠習慣を見直すことが必要です。まずは、一般的な悩みや疑問に対して、睡眠の専門家からのアドバイスを参考にしましょう。

これらの症状に心当たりはありますか？

睡眠後も疲れが残る、寝つきが悪い、眠りが浅い、夜中に何度も目覚める…。これらは読者アンケートで多く挙がった、不眠症にもつながる一般的な睡眠の悩みです。これらの問題を解決しましょう！

睡眠後も疲れが取れず、朝起きるのが辛いです。もしかして不眠症でしょうか？

専門家の見解: 不眠症ではなく、睡眠不足が原因です。

忙しい仕事や夜遅くまでの娯楽活動により、十分な睡眠時間が確保できていない可能性があります。睡眠不足により疲労が解消されず、朝起きるのが困難になったり、日中に眠気を感じたりすることがあります。これは特に若い人に多く見られ、年齢が上がると減少します。一方、不眠症は、十分な睡眠時間が確保されていても、寝つきが悪かったり、夜中に目が覚めたり、朝早くに目覚めたりする状態を指します。これらの症状が続き、日中のパフォーマンスに影響を与える場合、不眠症と診断されます。

ベッドに入ってから寝つくまでに時間がかかり、疲れます。

専門家の見解: これは入眠困難という不眠の一種です。眠くなるまで待ってからベッドに入りましょう。

入眠困難の一因はストレスです。試験や重要なプレゼンの前夜、ストレスを感じた日など、脳が興奮状態にあり、睡眠モードに切り替わりにくくなります。しかし、毎日このような状況が発生するわけではありません。入眠困難が続く場合、不眠への恐怖や、体内時計のズレ、眠くないのにベッドに入ることが原因となることがあります。リラックスして過ごし、休日は遅くまで寝すぎないなどの対策が効果的です。

夜中に何度も目が覚めてしまい、一度目が覚めると眠れなくなります。

専門家の見解: これは中途覚醒という不眠の一種です。過剰な睡眠が原因のことが多いです。

中途覚醒の主な原因は「寝すぎ」です。必要な睡眠時間は年齢によって異なり、それ以上の睡眠は不要です。例えば、必要な睡眠時間が6時間半であるのに、8時間横になっている場合、余分な1時間半は睡眠に必要ない時間となります。20～30代では平均睡眠時間は6.5～7時間です。これより長い睡眠時間が1週間続くと、夜中に目が覚めることがあります。1週間で合計45～46時間の睡眠が理想的です。

年齢に応じて最適な睡眠時間は変わります。

夜間に連続して眠れる時間は、年齢が上がるにつれて短くなります。例えば、30歳では7時間の睡眠が適切です。就寝時間と睡眠時間の差が、中途覚醒や入眠困難などの眠れない時間を生む原因となります。
図解: 年齢別の最適睡眠時間と睡眠ステージの分布
この図は、年齢に応じた最適な睡眠時間と、それに伴う睡眠ステージの変化を示しています。睡眠時間は年齢が上がるにつれて短くなり、睡眠ステージの構成も変わります。
時間（分）: 睡眠時間の長さを分単位で表しています。
年齢: 5歳から75歳までの年齢を示しています。
年齢別の睡眠時間:
25歳: 7時間
45歳: 6.5時間
65歳: 6時間
睡眠ステージ:
ノンレム睡眠1（浅睡眠）
ノンレム睡眠2（軽睡眠）
ノンレム睡眠3+4（深睡眠）
中途覚醒
レム睡眠
この図は、年齢に応じて必要な睡眠時間が減少し、睡眠ステージの構成が変化することを示しています。例えば、若い年齢では深睡眠の割合が高く、年齢が上がるにつれて浅睡眠や中途覚醒の割合が増える傾向があります。また、就寝時間と実際の睡眠時間の差が、眠れない時間（中途覚醒や入眠困難など）を生む原因となることも示唆されています。

不眠の深掘り解説！早朝覚醒や熟眠困難なども存在します。

不眠には入眠困難や中途覚醒の他に、早朝覚醒という症状もあります。これは朝型の人が日の出が早くなる春から夏にかけて極端に早起きになるものです。体内時計を遅らせるために、夜は早く床につきすぎないなどの対策が必要です。また、熟眠困難という症状もありますが、これは通常他の不眠症状と併発します。

いびきがひどく、家族から苦情が出ています
先生の回答: 睡眠時無呼吸症候群の可能性があるため、病院で相談をお勧めします

睡眠中、体の筋肉はリラックスし、舌の周りの筋肉も緩んで舌が後ろに落ち込み、気道が狭まります。この状態で空気が通る際に喉が振動し、いびきの音が発生します。さらに気道が狭まると、喉が詰まり無呼吸状態になることがあり、これが睡眠時無呼吸症候群です。睡眠が浅くなり、起床時に熟睡感が得られず、日中の眠気などの症状が現れます。高血圧や心臓病などの病気を引き起こすリスクもありますので、早めに呼吸器科や耳鼻科で相談することをお勧めします。

睡眠中の喉の状態
睡眠時無呼吸症候群の人: 上気道が塞がる
健康な人: 上気道が狭まるが、塞がらない

健康な人でも睡眠中は筋肉が緩み、舌が後ろに落ち込んで上気道が狭まりますが、睡眠時無呼吸症候群の人は上気道が完全に塞がり、窒息状態になることがあります。主な原因には肥満や顎の形状などがあります。

最近、睡眠薬なしでは眠れなくなってきました
先生の回答: 慢性的な場合は医師に相談し、睡眠習慣の見直しと睡眠薬の処方を検討しましょう

眠れない夜は孤独感や不安を感じることがあります。睡眠薬を使用することも一時的な解決策としては有効です。以前は睡眠薬で眠らせることが主な治療でしたが、現在は生活指導が中心で、睡眠薬は補助的な役割を果たします。睡眠薬を使用している人の中には、実は薬で寝過ぎている場合もあります。睡眠時間を少しずつ短くすることで、睡眠薬を徐々に減らすことが可能です。

深掘り解説: 睡眠薬の種類と特徴

睡眠薬には、薬局で購入できる睡眠改善薬と医師の処方薬があります。薬局で購入できる睡眠改善薬の主成分はジフェンヒドラミンで、抗アレルギー薬の成分でもありますが、慣れが生じやすく不眠症の改善には不向きです。医師の処方する睡眠薬には、「マイスリー」や「ルネスタ」などがあり、これらは比較的常習性が低く安全性が高いです。他にも体内時計に働きかける「ロゼレム」や覚醒レベルを下げる「ベルソムラ」などがあり、患者の症状に合わせて処方されます。

睡眠薬の使用状況

図:


• 飲んだことがない: 69.3%
• 以前飲んだことがある: 15.7%
• ときどき飲む: 4.0%
• ほぼ毎日飲む: 4.7%
• 答えたくない: 6.3%

睡眠薬代わりにお酒を飲むのが習慣になってしまいました 先生の回答: お酒は気分転換には良いですが、不眠対策には適していません

寝酒は、アルコールが脳の活動を抑制することで一時的に眠りを誘います。しかし、アルコールは2～3時間で分解されるため、その後脳の活動が活発になり、睡眠後半の眠りが浅くなります。これは中途覚醒の原因となります。また、舌の沈下が起こりやすく、いびきや睡眠時無呼吸を促進することもあります。睡眠薬と比べて依存性が高いのがアルコールです。お酒はリラックスのために楽しむものであり、睡眠薬代わりに使用するのは避けるべきです。

睡眠の疑問を解明し、次への一歩を踏み出す

睡眠Q&A①では、睡眠に関する一般的な疑問に焦点を当てました。睡眠の質を向上させるためには、日々の生活習慣の見直しが重要であることがわかります。次回の「睡眠Q&A②」では、生活習慣が睡眠に与える影響についてさらに深く掘り下げ、具体的な改善策をご提案します。良質な睡眠への道は、日々の小さな変化から始まります。